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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(オ)155号 判決 1953年4月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理由

原審の是認した第一審判決の確定した事実によれば、上告人服部が被上告会社の工員として、昭和一七年一月二四日被上告会社からその所有に係る従業員福利施設たる本件家屋を賃料一ケ月二三円にて期間の定なく賃借したが、同二〇年九月被上告会社の工員を退職し、自らは岐阜県下にも住居を有し妻子をこれに居住せしめつつ本件家屋には妻の母である上告人長沢及び妻の姉である上告人加納を居住せしめており、他方、本件家屋は従業員福利施設である社宅の関係上従業員以外の者には使用せしめないことを原則としているところ、被上告会社は現在約六〇世帯の住宅困窮従業員を擁しているため被上告会社の従業員を以て組織する労働組合からも強く本件社宅の使用を求められている状態であるというのである。そして右事実によれば、被上告人が上告人服部に対してなした本件賃貸借解約申入に借家法一条ノ二にいわゆる正当事由あるものとした原判示は相当であつて、原判決には所論のような違法はない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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